冬から春へと変わる季節に、「バスクリンの森」を訪れました。青々と茂っていた森は茶色の落ち葉に覆われ、しんと静まり返ってどこか寂しい雰囲気です。

「もう少し経つと、森もざわめいてきますよ」と、静かな森を眺めながら木こりの久米 歩さんが言いました。

「春になると植物が芽吹き始め、ざわざわと動き出す瞬間があります。鳥がチュンチュン鳴き始めたり、虫がブンブン飛んだり、『あ、今日変わったな』と思う瞬間があるんです」。

春まであと少し、と話す久米さんと、森の中に入っていきます。注意深く眺めていると、足元に地面を小さく照らすように成る、赤い実を見つけました。

秋に白い花を咲かせ、寒い時期に実をつける冬イチゴです。冬イチゴはジャムなどにして食べることもできます。

「これも冬の風景ですよ」と差し出された葉っぱの裏には、無数の斑点がついていました。これは、シダ植物の胞子のう。種類によっても異なりますが、冬は葉の裏に等間隔の胞子の点が現れ、季節が変わるとすっかりなくなってしまうのだそう。

すべてが枯れてしまったように見える森の中でも、冬に輝く実をつけて、春へと準備を進めている植物がいる。静かな中に潜む、力強い生命力を感じました。

「フキノトウが生えてますね」と久米さんが地面を指しました。しかし指の示すほうへ目を運んでも、あるのは落ち葉ばかり。久米さんに誘導されながらしゃがんでみて初めて、小さく頭を出したフキノトウを見つけられたのです。

フキノトウは、春の訪れを知らせてくれる代表的な植物。天ぷらやおひたしなど、日本料理には欠かせない山菜でもあります。久米さん曰く、「地面から大きく出すぎる前に採ると、おいしく食べられる」のだそう。

意識しないと踏んでしまいそうなほど、周りの落ち葉に身をひそめるように、こっそり顔を覗かせていたフキノトウ。地面をみていたら、春の訪れを発見したような気持ちになりました。

今回は看板を設置しました。ヒノキの板にロゴが力強く表記され、森によく馴染みます。「森」の下にある波線は、森で作られる水が川となって流れている様子を表現しました。森から川が生まれ、そして私たちが普段使う水へと姿を変えていく。人と自然が一緒に暮らす様子が、ロゴには表現されているのです。

季節が変わると、森はどんなふうに活気を見せてくるのでしょうか。賑やかにざわめく森の様子も楽しみですね。

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文:もりやみほ、写真:市岡祐次郎