陽だまりのあたたかな春、さわやかな風が吹く時季に、私たちの食卓を彩るタケノコ。炊き込みご飯、炒め物、若竹煮。みなさん、今年はタケノコ、どんなふうに味わいましたか?

「バスクリンの森」周辺は、タケノコが代表的な農産物の1つで、春になると「善光寺とたけのこ祭り」が開催されます。毎年50世帯の村に約3,000人が訪れる一大イベント。今回はお祭りの取材に加え、地元の方に周辺の竹林を特別に案内していただきました。

「うちのタケノコは超一流だよ!」と言って竹林に案内してくれたのは、大榎淳さん。数年前に商船会社を退職され、今はいくつもの畑で農作物を育てています。

「タケノコを見つけて掘ってごらん」と大榎さんに促され、さっそく竹林へと足を踏み入れると……

土の中から先端を発見しました! ちなみにタケノコは空気にふれると固くなり、味が落ちてしまいます。おいしい状態のものを収穫するには、地面から出る直前に掘りだすのがベスト。農家さんは地面を踏んだ足の裏の感覚で、タケノコの位置がつかめるようになるそうです。

今回はこのタケノコに狙いを定め、タケノコ掘りに挑戦です!

まずは形がわかるように、周りの土を剥がしていきます。タケノコを傷つけないよう、慎重に。少しでも傷ついてしまうと商品として出荷できません。

全体が見えたら、勢いよく根っこを切断します。狙いを定めて何度か振りかぶってみましたが、根っこだけに当てるのは至難の業。

「バスクリンマルシェ」開発者の佐藤さんにバトンタッチ。大榎さんのアドバイスのもと掘り始めますが、なかなか思うようにいきません。

それもそのはず、竹林は山の急斜面にあるんです。傾斜に立ち、身体のバランスを取りながら根っこに狙いを定めるのは、初心者には難しいチャレンジでした。

大榎さんに交代すると、なんと一振りで切断。手際よく掘っていくさまはまさに職人技。普段タケノコを見つけてから掘り終えるまでに、平均1~2分程度なのだそう。

時には10分以上かけても掘れないタケノコに出会う時がある、とも大榎さんは言います。そんな時は別のタケノコを掘って気を紛らわせ、再びチャレンジするのだそう。職人技と根気強さが、タケノコ掘りに必要なスキルなのでしょう。

採れたタケノコは、私の顔の倍ほどもある大きさ! ずしりとした重みがあり、片手で持つには疲れてしまうほど。

大榎さんを始め地元の方が掘ったタケノコは、「善光寺とたけのこ祭り」で販売されます。今年の量は約1トン。掘りたてのタケノコを周辺の山から流れる天然水でジャブジャブ洗い2時間煮炊きをすると、アクが取れておいしく食べられるのだそう。

肥料をまき手入れをして、丁寧に収穫したタケノコを、森から流れる綺麗な水で時間をかけて煮炊く。自然の恵みと農家さんの愛情がたっぷり詰まったそのタケノコは、開始1時間後にすっかり売り切れてしまいました。

「善光寺とたけのこ祭り」は、30年以上続く地域に根付いたお祭りです。周辺の住民たちが森や川を整え、畑を耕し、そこから得た食べ物を他の人へとつないでいく。お祭りの会場でタケノコ料理をおいしそうに食べている人や、購入したタケノコを笑顔で持ち帰るお客さんを見ていると、30年以上続いている理由が伝わってくるような気がします。

大榎さんの竹林で取れたタケノコは、バター醤油炒めにしていただきました。「いただきます」と手を合わせると、大榎さんの竹林や、掘っている時の様子、お祭りの風景が思い出されます。

タケノコは身がしまり、柔らかでサクサクとした食感。口に入れるとほのかに香りも広がります。何より感じたのが、食べ終わった後の幸福感。心を込めて作られた食べ物からは、生産者の愛情も受け取ることができるのかもしれません。

時間をかけて森を整え、そこから生まれた恵みが私たち生活者に届けられる。「善光寺とたけのこ祭り」は、普段当たり前のように動いているそのサイクルを、あらためて気づかせてくれるお祭りでした。

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文:もりやみほ、写真:市岡祐次郎