家に花を飾ったり、植物を眺めたりすると、心がほっと穏やかになった経験はありませんか。環境が少しでも変わると、私たちの内面に変化が起こることはめずらしくないと思います。

「バスクリンの森」でも同様に、季節が変わると、見た目には表れない木の変化がありました。

茶色の落ち葉で覆われていた2月と比べると、7月の「バスクリンの森」では草が一斉に背を伸ばし、膝まで伸びた草をかき分けながら歩く必要があります。

大股で森の中へ入っていくと、薄い茶色をした木の幹を発見。間伐のため樹皮を剥き、クリーム色の幹が見えていた木です。数か月を経て、幹が樹皮と似た色に変わっていました。

「しっかり枯れているかな」と、久米さんが残っていた樹皮を剥がしていきます。すると、一皮剥いた樹皮の下に迷路のような細い筋が見つかりました。

久米さん:「木は徐々に枯れ始めているようです。この筋は、カミキリムシの幼虫が木の皮を食べた跡。カミキリムシは枯れた木に穴を開け、卵を産みます。そして卵から孵った幼虫は幹を食べ、さなぎから成虫になり、また卵を産むんです」

枯れた木は卵を産むのに都合が良いのでしょう。一見しただけでは枯れているか見分けがつきませんが、木の中では確実に、少しずつ変化が起こっているようです。

今回も間伐作業を行いました。手順は前回と同じく、のこぎりで周囲に切り込みを入れ、樹皮を剥いでいきます。前回の記事はこちら

これまでと違うのは、梅雨の時期ということ。「木が水分をたっぷり含み、樹皮が剥けやすくなっていますよ」と久米さんからアドバイスをいただきました。

一気に剥ける様子を体験するため、今回は取材で訪れたメンバー4名が協力して樹皮を剥くことにしました。

樹皮を4分割し、全員がそれぞれ手に持ちます。「3、2、1」で引っ張ると……

前回とは違って、メリメリメリ、という音とともに、10メートルほどの高さまで一気に樹皮が剥けました! 剥けたあとに見えてきたのは、みずみずしく、つるりとした綺麗な幹。まるで家の柱を持ってきたかのように、森の中で1本だけが異彩を放ち、輝いているようにも見えます。

幹の表面は水分がにじみ出ていて、触ると水が指に付きました。養分も含まれているため、前回と同じく舐めるとほんのり甘い味。前回の記事はこちら

樹皮は地面ぎりぎりまで剥けます。根の近くはごつごつしており、まるで彫刻作品のよう。樹皮を剥くとこんなにも違うものかと、思わず見入ってしまいます。

パッと見ただけでは、前回と今回の木には特に違いはありません。しかし時期をずらして間伐作業をしてみると、木の内側では季節によって変化が起こっていることに気づきました。

私たちも木と同じように、周囲の環境によって心身への影響は異なってきます。混雑した駅の構内と、緑豊かな森の中では、感じることは違うでしょう。

自分の内面は、どんなふうに変化をしていきたいでしょうか。艶やかにそびえたつ木を眺めながら、周囲の環境による影響を感じました。

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文:もりやみほ、写真:市岡祐次郎