
名湯案内 長野県 野沢温泉
「湯仲間」が守り続ける共同浴場は、
天然温泉100%かけ流し。
北海道に次ぎ全国第2位にあたる、231ヶ所もの温泉地数を誇る信州・長野県。野沢温泉は、そんな信州を代表する温泉のひとつで、情緒を感じさせる温泉街には、30ほどの源泉があります。そして、なにより特徴といえるのが、13軒の「外湯」と呼ばれる共同浴場。天然温泉100%かけ流しの外湯は、古くから地元の人々の生活に欠かせない共同の場所として、昔から日常的に利用され続けているもの。江戸時代から村の人々による「湯仲間」という制度によって、きちんと管理、維持され、常に清潔に保たれています。
▲温泉街は情緒あふれる雰囲気。
まずは野沢温泉のシンボル=大湯へ
温泉街の中心にある「大湯」は、立派な湯屋建築も大きな見どころ。1994年にリニューアルされたそうですが、趣 ある伝統的な佇まいはもちろん昔のまま。中には「ぬる湯」と「あつ湯」、木造りの湯船が2つあり、地元の方や観光客でいつも賑わっています。泉質は単純硫黄泉。大湯には野沢の湯守り仏として、薬師三尊が奉られています。
▲地元の人、宿泊客以外の日帰り利用者は、入口の賽銭箱に寸志を入れるのをお忘れなく!
▲湯船の奥には、温泉水を飲むための飲泉所もあり。
源泉「麻釜(おがま)」は天然記念物!
100 度近い熱湯が絶え間なく湧き出る名所。「麻釜(おがま)」という名前は昔、伐り取った麻(あさ・お)をこの湯だまりに浸した後、皮をむいたことに由来するそう。「麻釜」は野沢温泉の“台所”と呼ばれているだけあり、地元の人々が野菜や卵を茹でたり、野沢菜を洗う風景も。まさに地域の人々と深く結びついた温泉の姿がそこにあります。
▲麻釜周辺は火傷の危険などから、地元の人以外の観光客などは立ち入り禁止となっている。
写真で共同浴場巡り!
▼麻釜の横の坂を下ったところにある「麻釜の湯」。麻釜から源泉を引いている。
泉質は、含芒硝-石膏・硫黄泉。
▼同じく麻釜から引湯されている「中尾の湯」は共同浴場の中で一番大きな木造湯や建築。
泉質は含石膏-食塩・硫黄泉。
▼大湯から少し下ったところにある「河原湯」。昔、渓流に沿った凹地河原にあったところから名付けられたそう。
泉質は含石膏-食塩・硫黄泉。
▼「熊の手洗湯」はその名にあるように、熊が発見したという言い伝えのある古い湯。
泉質は含石膏-食塩・硫黄泉。
▼「松葉の湯」は民宿が多く集まる松葉民宿街の中心にあり、2階部分に浴室がある。
泉質は含石膏-食塩・硫黄泉
▼国語・国文学者である高野辰之博士の記念館「おぼろ月夜の館」《斑山文庫》の上に位置する「秋葉の湯」。
泉質は含芒硝-石膏・硫黄泉。
他にも温泉街の北、つつじ山公園の入口にある「真湯」、そこから坂を下ったところにあり、歴史の古い「上寺湯」、西ノ宮神社の裏手にある比較的新しい「新 田の湯」。また、源泉が78度と高温の「滝の湯」、麻釜から引湯している「横落の湯」、そして斑山文庫の下、閻魔堂の前に建つ二階建ての「十王堂の湯」 と、それぞれ個性的な湯が点在。湯巡りして、お気に入りの温泉を見つける楽しみもあります。
足湯と温泉卵作りもお楽しみ
「麻釜」のすぐ近くにあるミニ温泉広場「湯らり」も人気スポットのひとつ。砂利を敷き詰めた温泉を歩いて足裏を刺激し、全身の血行を良くする歩行浴が楽しめます。散策中にちょっと一休みして、足の疲れをとりましょう!
「湯らり」では温泉卵を自分で作ることができるのもポイント。他に共同浴場の「熊の手洗湯」、「松葉の湯」、「十王堂の湯」にも温泉卵を作れる場所があるので、ぜひ!
▲温泉卵は麻釜の近くの土産店でも販売されている。
地域の人々に愛され、守られている野沢温泉。そんな地元の人々との触れ合いも観光客を癒してくれます。そして野沢温泉といえば、冬は多くのスキーヤーを魅了する、日本屈指のスキー場としても有名なスポット。冬場に訪れ、スキーを楽しんだ後に、温泉巡りをするのもおすすめです。
電車
●東京から
長野新幹線に乗り「長野」で下車
長野から直通バスで1時間15分
●長野から
JR飯山線に乗り60分、戸狩野沢温泉駅で下車そこからバスで20分
車
●東京方面から
練馬ICー藤岡JCTー豊田飯山ICー野沢温泉
●名古屋方面から
東名高速春日井ICー中央道ー長野道ー豊田飯山ICー野沢温泉
●大阪方面から
吹田ICから名神ー東名ー中央道ー長野道ー豊田飯山ICー野沢温泉
●金沢方面から
北陸金沢東ICー上越JCTー豊田飯山ICー野沢温泉
ひとことコラム
日帰り客も気軽に立ち寄れるのが、2011年にオープンした入浴施設「ふるさとの湯」。場所は「麻釜」のすぐ近く。大人500円、子供300円と有料では ありますが、外湯と変わらない泉質を楽しむことができます。温泉はあつ湯、ぬる湯、露天風呂と充実していて、オープン以来、多くの人々で賑わっているそう。