株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:三枚堂正悟)は、子育て世代に向けた充実したバスライフ提案、次世代への入浴文化の継承を目的に、2015年から東京都市大学 人間科学部 学部長 早坂信哉教授の研究グループと共同で、未就学児を対象に入浴習慣と子どもの成長・発達に関する「浴育」の研究を行っています。
2022年に実施した調査で、乳幼児(0~2歳児)の子を持つ保護者の子の入浴の世話における負担感が何からくるものなのかを調査・解析したところ、「子がお風呂に入りたがらない」、「保護者自身の浴後のケアが後回しになること」が負担の要因として示されました。また、その負担感を持つ方の特徴として、子の入浴の世話をワンオペレーション(以下表記:ワンオペ)で実施する母親の割合が多いことが示されました。
本研究の成果は、2023年10月31日~11月2日に開催された第82回日本公衆衛生学会(茨城県つくば市)で報告しています。

【結果サマリ】

  1. 子の入浴の世話に不満を持つ割合は、父親よりも母親の割合が多い。
    ・自身のゆとりが少なくなった(父親:54.4%、母親:78.3%)
    ・自身の負担が大きい(父親:49.5%、母親:71.1%)
    ・自身の浴後のケアができない(父親:40.8%、母親:83.5%)
  2. 子の入浴の世話の負担感は、「ワンオペ」、「子がお風呂に入りたがらない」、「自身の浴後のケアが後回しになる」という要因からくるものであった。
  3. 母親と比較して父親の方が負担感を持つ方の割合が少なく、父親は子の入浴の世話を楽しみながら実施できている。

入浴の世話のワンオペ実施者ほど負担感があり、「子がお風呂に入りたがらない」「自分のケアが後回しになる」と感じている人ほど入浴の世話に負担感を持つ傾向にあることが明らかになりました。当社は、入浴の世話を家族で協力して実施する「チーム育児」を応援するとともに、子がお風呂に入りたくなる工夫や保護者自身の入浴後のケアを楽にする方法を提案することで、子の入浴の世話をする保護者の負担軽減に寄与してまいります。

【共同研究者コメント】

この研究は実際に子育てをしている株式会社バスクリンの研究員の経験とアイデアから企画されました。入浴は健康に寄与する生活習慣ですが、子の入浴の世話に負担を感じるという声は以前からありました。本研究は、子の入浴の世話の負担感の実態やそれに関連する要因が何なのかを明らかにしたものであり、今後の入浴に関する育児負担の軽減の方策に示唆を与えてくれる重要な研究結果となりました。東京都市大学 人間科学部 学部長 早坂信哉

【背景】

核家族化や地域社会のサポート機能の低下により、ワンオペにおける育児不安や育児ストレスを抱える保護者が増加しています。特に0~2歳児は、保護者の完全な補助を必要とする場合もあり、この時期の育児不安が高いことが明らかになっています。しかし、育児不安やストレスに対する要因の研究が多くなされている一方で、育児の日常生活における負担の詳細については、十分に整理されていません。
そこで、本研究では乳幼児(0~2歳児)の子を持つ保護者の入浴の世話に焦点を当て、その負担感の要因を明らかにすることを目的としました。

【結果詳細】

①約8割の母親が「ゆとりが少なくなった」「浴後に自身のケアができない」と感じている
子の入浴の世話に対して感じることを性別毎に集計しました。その結果、「ゆとりが少なくなった」の設問に対して、「とてもあてはまる」と回答した割合は、女性が男性よりも有意に多く、反対に「ゆとりが少なくなった」と感じていない割合は、男性が有意に多いことが示されました。また、「自身のケアができない」に関しては、女性の割合が男性よりも有意に多いことが示されました。

図1.子の入浴の世話により「ゆとりが少なくなった」と回答した割合(%)

図2.子の入浴の世話により「自身の浴後のケアができない」と回答した割合(%)

②子の入浴の世話の負担感は、「ワンオペ」、「子がお風呂に入りたがらない」、「保護者自身の浴後のケアが後回しになる」要因からくるものである
子の入浴の世話の負担感が何からくるものなのかを明らかにするため、その要因を解析しました。その結果、子の入浴の世話のワンオペ実施者は、他の者と協力して実施する者よりも負担感を感じており(OR*1:2.58,95%CI*2:1.02-6.52)、「子がお風呂に入りたがらない」(OR*1:3.74,95%CI*2:1.39-10.02)、「自分のケアが後回しになる」(OR*1:3.34,95%CI*2:1.27-8.78)と関連があることが分かりました。*1:OR(オッズ比) *2:95%CI(95%信頼区間)

③母親と比較して父親の方が負担感を持つ者の割合が少なく、父親は子の入浴の世話を楽しみながら実施できている
「自身の負担が大きい」の設問に対して「とてもあてはまる」と回答した割合は、女性が男性よりも有意に多いことが示されました。一方で「子を入浴させるのは楽しい」の設問に対して「とてもあてはまる」と回答した割合は、男性が女性よりも多く、反対に「子を入浴させるのは楽しい」と感じていない割合は、女性が有意に多いことが示されました。

図3.子の入浴の世話は「自身の負担が大きい」と回答した割合(%)

図4.「子を入浴させるのは楽しい」と回答した割合(%)

【調査方法】

調査期間:2022年3月
調査対象:0~2歳児の子を持つ保護者200名
調査方法:webによる自記式横断研究
調査項目:子と保護者の属性、入浴の世話の実施状況、入浴の世話を通じて感じること、入浴の悩みなど
解析方法:
・性別毎に単純集計後、カイ二乗検定を実施。
・子の入浴の世話における負担感の有無を目的変数、子の入浴の世話の実施状況、入浴の悩み、子の入浴の世話に対する保護者の意識を説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析を実施。

【今後の展望】

本研究では、ワンオペで入浴の世話をする母親は、父親よりも負担感が大きく、負担感の理由として、子が風呂に入りたがらないことや自身の浴後のケアが後回しになる現状からくるものであることが分かりました。共働き世帯の増加に伴い、祖父母の育児参加が見られる家庭も増えていますが、ワンオペやシングルでの子育てなど、家庭環境は多様化しています。母親だけが育児を担うのではなく、周囲の人が積極的に子育てに関わっていくことで、子育てにおける負担の軽減につながると考えます。
本知見が、子育て家庭における「チーム育児」の推進につながることを期待します。当社では、入浴時のコミュケーションが子の健やかな成長や発達に関連することも明らかにしており、今後もお客様に充実したバスライフをご提案できるよう、「浴育」の研究活動を続けてまいります。

株式会社バスクリンは、入浴に関する様々な情報を発信しています。

健やかで心地よい生活をサポートするTipsをお届け「~健康応援マガジン~ カラダととのエール」
https://www.bathclin.co.jp/health-column/https://www.bathclin.co.jp/health-column/

商品開発の裏側や入浴について、楽しくお伝え「バスクリン ほかほかチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UC4UhwLOGEUKLpHfp6yV7CSQ