株式会社バスクリン(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、株式会社エスアンドエーアソシエーツ、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所と共同で連続した入浴剤入浴が良い睡眠をもたらすことを実証しました。

なお、本研究内容は日本生理人類学会第63回大会(2010年10月30日(土)~31日(日))で報告しました。

目的

当社はこれまで、入浴と睡眠の検討を行ってきました。入浴が、良質の睡眠をもたらすということは報告されていますが、今回は実際の生活の中で入浴剤を使用した入浴とシャワーを使用した入浴とそれぞれ5日間実施した時の睡眠状態について検証しました。

対象と方法

被験者健常な20歳~30歳代の成人6名(女性5名 男性1名)
実施期間2010年5月~6月
入浴条件B条件:身体を洗浄後、入浴剤※を使用し湯温40℃10分間の浴槽浴。(以下 浴槽浴)
S条件:身体の洗浄のみで浴槽浴は無し(40℃のシャワー 以下 シャワー浴)
※硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを含む。柑橘系の香り。
スケジュール被験者は自宅にて10日間(2条件×5日間)の計測
測定指標と分析データ連続活動量、深部体温、皮膚温、心理尺度、心拍変動

結果

1. 入浴直後

浴槽浴の方がシャワー浴より深部体温は高く、身体を芯から温めています。(末梢部温は浴槽浴とシャワー浴と同等)
また、浴槽浴の方がシャワー浴より交感神経系活動が高く、副交感神経系活動が下がり、覚醒状態にあると考えられます。

2. 入浴後から就床までの変化

浴槽浴の方がシャワー浴より深部体温、集中力は有意に低下しました。
睡眠を導く体温の変化、気分状態は、浴槽浴の方がメリハリがある、と考えられます。

3. 夜間睡眠の評価

夜間の心拍変動をみると浴槽浴の方がシャワー浴よりも心拍数が有意に低下し、交感神経系活動は低下傾向にあり、浴槽浴の方がより良好な睡眠状態にあると考えられます。

4. 起床時の睡眠感

起床時の睡眠状態を評価する心理尺度であるOSA睡眠調査票を用いた調査では、浴槽浴をした方が疲労回復度や覚醒感に関してシャワー浴より良好な結果となりました。

全ての因子において、得点が高いほど良好な睡眠であることを示している、
覚醒感はOSA睡眠間調査票の「起床時眠気」因子を示し、得点が高いほど眠気が低い。

5. リズム性・活動性

浴槽浴の方がシャワー浴より深部体温の最低体温出現時刻のばらつきが小さく、翌日の活動量が高い傾向にあり、生活リズム調整、活動性に有効である可能性が示唆されました。

まとめ

連続した入浴剤入浴が、シャワー浴より入浴後から就床までの深部体温の低下が大きく、また睡眠中の心拍数の低下が大きいことから、より良好な睡眠状態であったと考えられます。その結果、起床時の疲労回復感と覚醒感が得られていることが示唆されました。
以上より、連続した入浴剤入浴は、深部体温の変化のメリハリを高め、良好な睡眠状態により疲労回復を促し快適な生活リズムづくりに有効であると考えられました。