株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、水素入浴による皮膚への作用について検証し、加齢に伴う皮膚状態の改善効果について平成29年11月に開催された日本生理人類学会第76回大会にて「水素化マグネシウム入浴剤のスキンケア作用」と題し発表しました。そして、その報告内容が優秀発表賞に選出されました。

【背景】
水素は、酸化ストレスに対する活性酸素を消去し細胞防御機能を持つことが知られています。
当社においても水素の抗酸化作用に注目し、精力的に研究してきました。表皮細胞試験では、入浴剤で実現可能な低濃度水素(25,50ppb)の光老化に対する作用を検証し、UVB 照射による表皮細胞内・活性酸素種(ROS)産生が水素により抑制されることを明らかにしてきました。これにより低濃度水素は、単回の紫外線照射による細胞障害を抑制し、皮膚を構成する細胞を保護することが示唆され、水素を効率よく皮膚に供給する手段として入浴剤が有用であると考えました。

【目的】
ヒトを対象に水素化マグネシウム入浴剤を用いた入浴が、加齢に伴う皮膚機能の低下を抑制し、肌質の改善に繋がるかを検証しました。

【方法】
◆被験対象:健常人14名(平均年齢±標準偏差:44.5±8.7歳)
◆入浴条件:40℃15分、2週間連浴(前腕部・下腿部の部分浴)
◆入浴剤:水素化マグネシウム入浴剤(水素化マグネシウムと炭酸塩および有機酸を配合した水素+炭酸ガス入浴剤)
対照は、炭酸塩および有機酸を配合した炭酸ガス入浴剤
◆試験方法:1 盲検法のクロスオーバー試験。両群の間には1週間のウォッシュアウト期間をおいた。
※試験期間中のスキンケア製品の変更を禁止した。
すべての試験は、被験者に事前に試験内容を説明し、同意を得て行った。
◆評価:角層水分量、経皮水分蒸散量、弾力性、皮膚色調、テープストリッピングによる角層観察、主観評価
統計は、Paired Student’s t-test, Pearson 相関係数を用い、有意水準は、5%未満を有意とし、10%未満を有意
傾向とした。
グラフ中表記 *: p<0.05 ◇: p<0.10

【結果】
水素+炭酸入浴剤により、角層水分量・皮膚明度・皮膚弾力性の有意な増加およびくすみの原因となる角層の重層剥離率の有意な低下を認めました。さらに、対照群との比較において、角層水分量、重層剥離率の差異を認めました。

図1 水素化マグネシウム+炭酸浴による変化
左上図:皮膚弾力性(R7)、右上図:皮膚明度(value)、左下図:角層水分量、右下図:重層剥離率
mean±SD *p<0.05、◇p<0.1 (Student’s t-test)
※基剤:炭酸入浴剤

【まとめ】
水素化マグネシウム入浴剤の 2 週間使用により、角層水分量、皮膚明度、重層剥離率の有意な改善が認められたことから、肌くすみの改善に効果的である可能性が示唆されました。
本研究に用いた試料は水素化マグネシウム、炭酸ガスを主成分として構成されており、抗酸化作用、血流促進作用、保湿作用が総合的に肌質改善に寄与したと考えられます。