暑い日に冷たい水を飲んで生き返った気分になったり、汗をたくさんかいた後、勢いよくシャワーを浴びてすっきりしたり、私たちの生活のあらゆるシーンに水は登場します。

蛇口をひねればすぐに出てくる水ですが、始まりはすべて、森から生まれる1滴の雫から。流れ落ちる1滴1滴が合わさって小川が作られ、支流、本流へと流れていき、最終的に私たちの家庭に運ばれます。

「バスクリンの森」周辺の町では、川の水を貯水して各家庭に水が届けられています。消毒のための薬品は入れずに、貯めた水をろ過して使っているのだそう。周辺に住む木こりの久米さんも、この川の水を使って生活していると言います。

久米さん:「森がなければ、この地形に川が流れることはありません。森があるからこそ、私たちの生活もここで成り立っています。」

しかし森も、ただあるだけでは綺麗な水を作ることができません。あらゆる種類の動植物が育つ豊かな土壌の森があるからこそ、私たちは綺麗な水をいただくことができます。

例えば土だけの場所に雨が染み込むと、土に含まれた不純物と一緒に、濁った雨が川へ流れこみます。単一の土だけでは地中に水を貯えておくことが難しく、雨が続くと水があふれ、洪水を引き起こしかねません。

では、様々な植物や生き物が生活する森に雨が降り注いだ場合はどうでしょうか。土の中でミミズなどの土壌生物が移動した跡や、植物同士が重なり合う隙間に、スポンジのような貯水のための空間が作られます。雨がその空間に貯まり、さらにそこからゆっくりとろ過され、綺麗な水が川に流れていくのです。そのため、森は「緑のダム」と表現されることもあります。

「小学生の頃、理科の実験などでろ過装置を作りませんでしたか?」と久米さんから聞かれ、泥水を透明に変えるペットボトルのろ過装置を作ったことを思い出しました。

ペットボトルの底の部分を切り、草や葉、砂利や土などを詰め、汚れた水を通すと水が綺麗になって出てくる仕組みです。森にある植物が雨を受けとめ、土に染みた雨が貯水され、ゆっくりろ過されて綺麗な水になるのです。

小さなペットボトルの中で起こっていたことが実際の森でも発生し、私たちのところに水が届けられていたのです。

「バスクリンの森」のすぐそばにも、小川が流れています。「クレソンやワサビも生えていますね」と、久米さんが石のそばに生えている葉っぱを指しました。

クレソンもワサビも、綺麗な水のそばでしか生えない植物。特にクレソンは、川が淀みなく流れる場所にのみ生えるそうです。

許可をいただいて、川の水で軽くすすぎ、クレソンの葉をかじってみました。味が濃く、とても新鮮。

「綺麗な水で育った採れたての野菜は、何もつけなくてもおいしい。素材がもつ味がしっかり味わえるんです。綺麗な水で洗えば、水がドレッシング代わりのようになって、さらにフレッシュになりますよ。」

表面に付いたはじけるような水滴と、クレソンの苦みや瑞々しさが口の中で合わさり、体中が浄化されていくような気分になりました。

整えられた森には綺麗な水が作られる。私たちはその水を使って、生活ができる。森を整えることが私たちの生活にも密接に関わっていることを、感じることができました。

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文:もりやみほ、写真:市岡祐次郎