ツムラ ライフサイエンス株式会社(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、入浴中の自律神経系に及ぼす影響、および入浴剤を活用した場合の影響について検討しました。

なお、本研究内容は日本薬学会第130年会(2010年3月28日(日)~30日(火)、岡山市で開催)で報告しました。

背景と目的

入浴は、身体をあたためる、きれいにするなどのさまざまな目的で行われている。入浴剤は、入浴の効果を高め、気分をリラックス、リフレッシュさせる。入浴は自律神経系に影響を与えるが、入浴中の自律神経系の挙動についてはほとんど報告がなかった。
そこで今回、入浴中の自律神経系に及ぼす影響、および入浴剤を活用した場合の影響についても検討した。

方法1

さら湯入浴条件での自律神経系に及ぼす影響について、健常男性(n=7 43.4±3.8才)にて検討。

入浴温度37、39、41℃
入浴時間10分間
入浴方法肩までの全身浴
測定機器脳波・心電リアルタイム測定システム MAKIN2 株式会社ジーエムエス アームエレクトロニクス社製

   

結果1

  1. 副交感神経系は、入浴直後一過性に亢進し、その後、温度条件が高温であるほど経時的に抑制される傾向にあった。
  2. 交感神経系は、41℃入浴で影響が強くなることが示唆され、39℃以下ではほとんど影響がなかった。出浴後は、いずれの条件ともに速やかに安静時状態に復した。
  3. 心拍数は、湯温が高くなるにつれ入浴中に増加したが、入浴後は、いずれの条件ともに速やかに安静時状態に復した。

(1)

(2)

(3)

方法2

香り揮発性に特徴ある入浴剤による自律神経系への影響について、健常男性(n=7 44.1±2.0才)にて検討。

入浴条件入浴温度40℃
入浴時間10分間
入浴方法肩までの全身浴
被験物質ローズ系で溶解時高揮発性入浴剤(以下kpr)、ローズ系で粉末タイプ入浴剤(以下kprpc)
対照さら湯(以下pw)
測定機器脳波・心電リアルタイム測定システム MAKIN2 株式会社ジーエムエス アームエレクトロニクス社製

  

結果2

  1. すべての群で、副交感神経系は、入浴直後一過性に亢進した。入浴剤群は、pw群と比較して、入浴中、副交感神経系が抑制され、交感神経系が亢進する傾向にあった。
  2. 出浴後は、交感神経系への影響は少なく、副交感神経系への影響が持続した。
  3. 副交感神経系に関しては、入浴剤群で、入浴前と比較して入浴中は有意に減少した。pw群では、減少するが有意ではなかった。
  4. 交感神経系は、kpr群で、入浴前と比較して入浴中は有意に増加した。kprpc群も増加したが有意ではなかった。
    pw群では、入浴後半にわずかに増加傾向であった。入浴剤群は、入浴前半でpw群と比較して有意な増加がみられた。
  5. 心拍数は、群間の差はみられなかった。

副交感神経

交感神経

まとめ及び考察

  1. 入浴直後の副交感神経系亢進は、入浴による解放感等が影響している可能性が考えられた。
  2. 入浴温度条件が高温であるほど、副交感神経系抑制、交感神経系亢進が示唆されるが、低温では、副交感神経系への影響が強く、交感神経系には影響が少ない事が示唆された。
  3. 香り揮発性に特徴のある入浴剤浴群は、さら湯群と比較して交感神経系亢進、副交感神経系抑制等、自律神経系への影響が認められた。
  4. ローズ系入浴剤利用が、入浴にリフレッシュ感をもたらすことに有用であり、生活にメリハリを与える可能性が示唆された。

※使用の浴用剤については広報までお問い合せください。