ツムラ ライフサイエンス株式会社(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科、岡山大学病院・三朝医療センターと共同で、食塩含有人工炭酸泉(以下 食塩炭酸泉)連続入浴が、さら湯浴、食塩炭酸泉単回浴と比較して血液中HSPの増加傾向があることを確認いたしました。

尚、本研究内容は第75回日本温泉気候物理医学会・学術集会(2010年6月4・5日、那須塩原市で開催)で報告しました。

背景と目的

HSPは熱ストレスや精神的ストレスなどにより誘導されるタンパク質であり細胞内に誘導されたHSPは、ストレスにさらされた細胞を生き延びられるように働く事が知られています。

さらにHSPは抗原提示の亢進とリンパ球の活性を促進するという、全身の免疫活性化作用が明らかにされつつあります。

今回、さら湯浴(入浴前後)、食塩炭酸泉単回浴(単回入浴前後)、食塩炭酸泉連続入浴(15回連続入浴の最終回の前後)における血液中のHSPを定量的に測定し、熱ストレスによるHSPの産生に有効な入浴法を検証することを目的としました。

方法

対象下肢の冷え性・疼痛・しびれ感をもつ9名
入浴条件40℃10分間の全身浴
浴用剤食塩含有人工炭酸泉
(急性効果は1回浴、慢性効果は15日連続浴(以下 15回浴)により評価)
試験フロー安静 →採血測定→入浴 → 採血測定。
食塩炭酸泉浴入浴(急性、慢性の2種)
対照としてさら湯1回浴(以下 さら湯浴)をそれぞれ実施。
試験方法40度のさら湯、食塩炭酸泉浴入浴前後に採血を行い、単核球分画を採取。
-80℃に保存した後、HSP抗体を用いて測定。

  

結果

結果は、入浴前の値を1とした場合の、入浴後の値の比をもって検討を行いました。

さら湯浴入浴後: 1.07±0.31(p=0.26)
食塩炭酸泉浴入浴後: 1.24±0.66(p=0.16)
食塩炭酸泉浴連続15回入浴、15回目入浴前後:1.48±1.06(p=0.12)

食塩炭酸泉浴連続15回入浴において、HSPの増加傾向がうかがわれました。

炭酸:食塩炭酸泉を指す

考察

これまで食塩炭酸泉浴は末梢の血流量を増加させることにより、冷え性の改善・疼痛の軽減・疲労感の軽減といった効果が得られることを報告してきた。また、総ての全身浴は血清アルドステロン、コルチゾール低下作用を有する事を報告してきました。

今回、食塩炭酸泉浴は、細胞内のHSPの増加を介してリンパ球の活性を促進し全身の免疫活性化作用に効果が高いことが推測される結果が得られました。

※食塩含有人工炭酸泉については広報までお問い合わせください。