ツムラ ライフサイエンス株式会社

ツムラ ライフサイエンス株式会社(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 リハビリテーション医学、鹿児島大学病院 霧島リハビリテーションセンターと共同で、硫酸マグネシウム含有人工炭酸泉(以下、MG炭酸ガス)浴と浴中の柔軟体操が、生活習慣病の一次予防に可能性があることを確認しました。

尚、本研究内容は第75回日本温泉気候物理医学会・学術集会(2010年6月4・5日、那須塩原市で開催)で報告しました。

背景と目的

近年、乱れた食生活、運動不足、喫煙、飲酒などが主な原因で引き起こる、高血圧症、糖尿病、高脂血症、痛風(高尿酸血症)といった生活習慣病の予防への関心は高まりを見せ、テレビ番組などでも、生活習慣病に効果的な温泉などが紹介されています。

今回、健常者15名を対象に、さら湯入浴、MG炭酸ガス浴用剤を使用した入浴に加え、浴中の柔軟体操をすることが、生活習慣病の一次予防となる可能性を見い出すべく検討を行いました。

方法

対象健常成人15名
入浴条件41℃10分間の全身浴と浴中の柔軟体操
浴用剤MG炭酸ガス浴用剤
試験フロー安静 → 入浴 → 30分後まで測定。
MG炭酸ガス浴。対照としてさら湯浴を実施。
試験方法被験者は、試験室にて安静馴化後、入浴後30分後まで各項目を測定。
測定項目皮膚深部温(舌下温)、皮膚血流(前額部)等を測定。アディポネクチン、レプチンは採血分析により評価。
すべての試験は、被験者に事前に試験内容を充分説明し、同意を得て行ないました。

*アディポネクチン:動脈硬化を予防し、インスリン感受性を亢進させる。
**レプチン:摂食抑制、エネルギー消費亢進、糖代謝改善作用などがある。
共に脂肪細胞から特異的に分泌される善玉アディポカインで、肥満度に反比例して、血中濃度は低下する。

結果

舌下温や皮膚血流は、MG炭酸ガス浴がさら湯浴よりも有意に増加した。
入浴後、レプチンはMG炭酸ガス浴、さら湯浴共に有意に増加し、アディポネクチンはMG炭酸ガス浴のみ有意に増加した。

考察

入浴によりレプチンは増加し、アディポネクチンはMG炭酸ガス浴のみ増加した。これら増加の機序は明らかでないものの、MG炭酸ガス浴は、さら湯浴より深部体温や皮膚血流を有意に増加させていることより、インスリン感受性亢進作用、抗動脈硬化作用を有する善玉アディポカインの分泌を促したと推察できる。この事実は、生活習慣病の一次予防に役立つ可能性があり、今後、さらなる研究を進めていく予定です。

アディポネクチンやレプチン、PAI-1やTNF-αといった上記記載のアディポカインは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称です。現在、上記アディポカインも含め、約25種類の物質の存在が確認されており、善玉(善い方に作用)と悪玉(悪い方に作用)に分けられます。

※硫酸マグネシウム含有人工炭酸泉については広報までお問い合わせください。