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2016年06月27日

入浴時の体温変化と唾液アミラーゼおよび身体への負荷を検討
~日本生理人類学会第73回大会で報告~

株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、修文大学健康栄養学部との共同研究で入浴時のストレス解消について唾液アミラーゼ活性を用いて検討を行いました。その結果、入浴時に体温が1.14℃上昇することで唾液アミラーゼ活性が低下し、ストレス解消に適していることが示唆されました。
しかし、入浴時の体温は加齢に伴い上昇し難くなることが認められ、高齢者は、体温を上げるために入浴時間が長くなることが予測されます。また、普段の入浴温度が高いことから、身体への負荷が大きくなることが懸念されます。したがって、特に高齢者には、負荷の少ない入浴法を提案することが必要であることを日本生理人類学会第73回大会で報告しました。


【背景】
入浴は、体温上昇や自律神経等への作用により、リラックス感やストレス解消を実感します。そこで、入浴前後の唾液アミラーゼ活性値を指標として、ストレス解消に適した体温上昇を検討しました。今回は、入浴時の体温上昇を年齢層別に評価し、特に高齢者に適した入浴法を見出すことを目的としました。

【方法】
(1)被験者 : 20から69歳までの男女58名(男性30名、女性28名、 49.8 ± 14.7歳)
(2)入浴方法 : 40℃15分間の全身浴後30分間の安静
(3)測定項目 : 舌下温度、血圧、心拍数、酸素飽和度、唾液アミラーゼ活性、主観評価 等
修文大学倫理委員会の承認を得て、本人の同意の下に実施しました。

【結果】
(1)入浴15分後の体温変化を順に並べ、低値群・中央群・高値群の3群に分け比較しました。入浴15分後の体温変化は、低値群で平均37.55℃まで上昇し、その時の変化は0.78 ± 0.14℃(S.D.)でした。中央群では平均 37.81℃まで上昇し、その時の変化は 1.14 ± 0.08℃(S.D.)でした。高値群では平均38.15℃まで上昇し、その時の変化は1.62 ± 0.22℃(S.D.)でした。Fig1は、入浴前の体温を0として、入浴中・後の体温変化を示します。入浴における体温上昇は、体脂肪率および年齢との間に有意な負の相関を認め、肥満傾向や加齢に伴い、入浴時の体温は上がりにくいことが認められました。
(2)試験前の唾液アミラーゼ活性と入浴時の体温上昇が負の相関を認め、試験前のアミラーゼ活性値が低いほど入浴時の体温上昇が高まりました。Fig2は、各群別の入浴前後の唾液アミラーゼ活性を示します。入浴で体温が上昇した高値群は、入浴前の唾液アミラーゼ活性が低いことが認められます。また、Fig3のごとく試験前後の唾液アミラーゼ活性変化は、中央群で他の群と比較し有意な低下を認めました。

(3)次に、加齢に伴う体温上昇への影響を明らかにするために、被験者の年齢を3群(20-44歳:青・壮年期、45-64歳:中年期、65-69歳:高年期)に分け比較しました。何れの群においても、Fig4の如く入浴5分から 15分までは入浴時間に比例し体温が上昇しました。そのため、回帰直線から唾液アミラーゼ活性が低下した1.14℃の体温上昇に要する入浴時間を算出した結果、青・壮年期で12.5分、中年期で15.4分、高年期で18.7分であることが推定されました。

(4)年代別に身体への負荷を測定した結果、高年期は他の群と比較し入浴中の血圧に有意な変化(収縮期血圧の低下)を認めました。

【まとめ】
唾液アミラーゼ活性は、ストレス評価の指標となることが報告されています。入浴時の体温上昇が1.14℃であった中央群で試験前後の唾液アミラーゼ活性が低下したことより、ストレス解消に適した体温変化は 1.14℃であると考えられました。入浴時の体温変化は、試験前の唾液アミラーゼ活性と負の相関があることより、不快状態での入浴は体温上昇が低く、ストレス解消には少し長めの入浴が必要になると言えます。また、入浴時の体温上昇は体脂肪率や年齢と負の相関があり、肥満型や高齢者においては入浴時の体温が上がりにくくなります。このことは、高齢者の入浴時の湯温が高い理由とも考えられ、身体への負荷は大きくなることが懸念されます。本試験における高齢者の入浴中の収縮期血圧および酸素飽和度の変化は、他の年代層と比較して有意に低下し身体への負荷が高いと言えます。そのため、負荷を抑えながら入浴時の体温を上げる入浴法の提案が望まれます。我々は、入浴剤使用で体温上昇が高まることを報告しており、入浴剤使用が高齢者の安全入浴対応策のひとつと考えられます。


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