株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、独自の研究で、光老化に対する水素の作用について解析し、その成果を平成29年6月24日・25日に開催された第82回日本温泉気候物理医学会総会・学術集会にて報告しました。

【背景】
ヒトの肌では紫外線を受けることで過剰な活性酸素種(ROS)が生まれ、それらが細胞構成成分であるDNAやたんぱく質、脂質などを酸化させることにより細胞障害を起こさせ、シミやシワなど光老化症状が現れます。
2007年に水素がROSを消去し、酸化ストレスに対して細胞防御機能を持つことが示されて以来、水素の疾病予防・治療効果に関する基礎医学研究および臨床研究が精力的に行われています。(300件以上の文献報告があり、その数は年々増加しています。)しかし、常に紫外線を受け酸素と接し、ROSの第一ターゲットとなり得る皮膚における水素の作用は未解明な点が多く、さらなる検証が必要とされています。

【目的】
本研究では、水素入浴の光老化に対する作用を解析するにあたり、入浴剤で実現可能な低濃度の水素が、UVBによって誘発される表皮細胞内でのROSの増加および真皮線維芽細胞でのⅠ型コラーゲンの減少に対して有用であるか検証しました。

【方法】
1)表皮細胞における水素のROS 消去作用について:
表皮細胞を25ppbおよび50ppbの水素を含む培地で24時間培養した後、UVB(20mJ/cm2)を照射し、さらに10分間水素添加培地で培養後、細胞内に産生されるROSの量を測定しました。
2)真皮線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲンの減少に対する水素の作用について:
真皮線維芽細胞にUVB(20mJ/cm2)を照射し、最終水素濃度25ppbおよび50ppbとなるように調製した培地で48時間培養し、培地中に分泌されたⅠ型コラーゲンをDot Blot法を用い定量しました。

【結果】
1)表皮細胞における水素のROS消去作用について
グラフ1に示すとおり、UVB照射群のROS産生率は233.5%(非照射群の約2.3倍)でありましたが、水素濃度25ppb、 50ppb群では、それぞれ188.7%、171.5%となり、水素濃度依存的に細胞内のROSが減少しました。
2)真皮線維芽細胞におけるⅠ型コラーゲンの減少に対する水素の作用について
グラフ2に示すとおり、UVB照射群では、細胞からのⅠ型コラーゲンの分泌が非照射コントロール群と比較し、35.5%に低下しましたが、水素濃度25ppb、50ppb群では、それぞれ46.6%、48.7%となり、Ⅰ型コラーゲンの分泌量が回復する傾向にあることがわかりました。

【まとめ】
入浴剤で実現可能な低濃度の水素が、光老化に対して有効であるか、細胞を用いて検証しました。
25ppbおよび50ppbの水素が、UVB照射による表皮細胞内でのROSの産生を抑制し、また、真皮線維芽細胞からのⅠ型コラーゲンの分泌量の減少を緩和しました。
これらの結果から、水素入浴剤で実現可能な低濃度水素には、単回の紫外線照射による細胞障害から皮膚を構成する細胞を保護する作用があることがわかりました。単回の紫外線障害が蓄積することによって生じるシミやシワなどの光老化症状に対して、水素が有効である可能性が示唆され、さらに、水素を効率よく皮膚に供給する手段として、水素入浴剤が有用であると考えられました。