株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、順天堂大学との共同研究で運動前の入浴がパフォーマンス向上に繋がるかについて検証し、2019年1月26日~27日に開催された「NSCAジャパン ストレングス&コンディショニング(S&C) カンファレンス2018」にて報告しました。

【背景と目的】
これまでに、私達は運動のパフォーマンス向上に入浴が寄与できるのかについて研究を行ってきました。
運動のパフォーマンスを高めるために、運動前のウォーミングアップは重要だと言われています。ウォーミングアップの主たる効果は、体温や筋温の上昇であることが考えられていますが、この筋温の上昇を入浴の温熱作用により行うことで、同様の効果があるのかどうか検証することを目的としました。

【実験内容】

Ⅰ. 入浴条件による生理的変化
入浴の温度条件によって大腿部の筋温がどのように変化するかを確認しました。38℃および41℃の10分入浴において、両群とも筋温は入浴前と比較して有意に上昇することがわかりました。

Ⅱ. 運動パフォーマンステスト
無入浴と38℃10分入浴後のジャンプ力(多関節運動)と膝関節伸展運動(単関節運動)について検証を行いました。ジャンプ力はスクワットジャンプによる跳躍高を3回測定した最大値としました。膝関節伸展運動(単関節運動)は40回伸展運動を行い、発揮筋力を5回ごとに平均して求めました。
無入浴群と比較して38℃入浴群では、ジャンプ力において有意な増加がありました。さらに、膝関節伸展運動では、1-5回の平均発揮筋力(トルク)において有意な増加がありました。

【まとめ】
38℃10分間の入浴により、皮膚表面温度および筋温の上昇が確認されました。そして、その後に行ったスクワットジャンプ力(跳躍高)および膝関節伸展運動の有意な増加を認めました。これらの結果から、これまで入浴は運動後の疲労回復について主に研究されてきましたが、運動前の入浴で、その後の運動のパフォーマンスが向上する可能性が示唆されました。
今後も、入浴の新たな可能性について詳細な検討を進めていく予定です。