ツムラ ライフサイエンス株式会社(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、株式会社 エス アンド エーアソシエーツ、ロフテー睡眠文化研究所、ひとセンシング株式会社と共同で、「浴用剤使用の入浴が入浴後の覚醒レベルと夜間睡眠に及ぼす影響」について客観的に検証し、以下の効果を実証しました。その成果を日本睡眠学会第32回定期集会(2007年11月7、8、9日、京王プラザホテル)で発表し、浴用剤を利用した新たな「快適生活リズムづくり」を提案します。
※ 本研究は、国立精神・神経センター精神保健研究所 白川修一郎先生の指導のもと実施しました。

背景

近年さまざまな疲労を回復するために、入浴そのものへの期待や、浴用剤を使用した入浴への期待が高まっています。疲労と入浴に関する調査によると80%の人が「お風呂に入った方が疲れが取れると感じる」と回答しています。また、浴用剤の使用も「疲労回復などの身体への効果があること」が最も高く期待されています。
※入浴と疲労に関する調査:対象 10歳代~60歳代の男女 有効回答1,154名

一方、人々の睡眠はさまざまな原因で悪化していると言われています。そこで入浴と就床に関する調査を行うと、77%の人は2時間以上経過した後に就床するという結果でした。
良い睡眠を促すためには、この就床前の一定時間に「質の高い覚醒状態」を保つことが有効だと言われています。つまり、生活リズムにメリハリをつけることが良い睡眠を促すということです。
※入浴と就床に関する調査:対象 10歳代~60歳代の男女 有効回答1,125名

目的

ツムラ ライフサイエンス株式会社は、多くの人が習慣にしている就寝2~5時間前の「入浴」に注目し、覚醒水準を良好に保つ入浴法の開発として、芳香の揮散性が極度に早い浴用剤が入浴後の覚醒レベルを良好に保つことに有効であることを本年6月に報告しました。
今回、実生活場面で、芳香の揮散性が極度に早い浴用剤を入れた入浴とさら湯での入浴とで条件を設定し、夜間の睡眠に及ぼす影響を、主観的、客観的側面から総合的に比較検討しました。

方法

対象者12名の健常な30、40歳代女性(36.8±4.6歳)
入浴条件条件1 さら湯で入浴
条件2 柑橘系ゆず調の浴用剤を使用し入浴
(ツムラ ライフサイエンス株式会社製 開発番号NBC-KP-ゆず※1を使用)
手続き14日間連続で自宅で入浴を行う(各条件7日間×2)
※入浴から就床までの平均時間は、さら湯条件で3.3±1.2時間、ゆず条件で3.2±1.0時間
※各条件の順序はランダムとし、被験者間でカウンターバランスがとれるよう配置
計測[主観指標]
入浴前・後 カロリンスカ眠気尺度(KSS)、気分評価(VAS)
起床時
入眠感尺度(山本ら, 2000)
OSA起床時睡眠感調査MA版(山本ら、1999)
起床時の気分状態評価(VAS)など
[客観指標]
連続活動量(アクチグラフ(米国A.M.I.社製)を非利き腕に装着)
入浴前に対する入浴後の自律神経活動変化
分析各条件の第3~7日目のデータを使用
夜間睡眠の評価については、以下の削除基準に従ってデータ整理
削除基準
1.入浴後に夕食を摂取
2.活動量から算出した入眠潜時が30分以上
3.入浴が23時以降(就床が1時以降)

※1 開発番号NBC-KP-ゆず:バスクリン カラダプラス 生ゆず搾りの香り

結果

両条件間で浴用剤使用の入浴は眠気の低下を認め入浴後の覚醒感を高めた。また、浴用剤により入浴後の覚醒感は高められるものの主観的にも客観的にも睡眠内容は阻害されず、浴用剤使用した場合には起床時の疲労回復感が有意に高かった。

入浴後の眠気と気分の変化(n=10)
  さら湯 ゆず t-test
mean sd mean sd t値 P<
KSS 眠気 -0.05 0.81 -0.56 0.49 2.46 0.05
VAS 緊張 2.62 5.45 5.66 5.22 -2.53 0.05

考察

通常の生活の中で、就床約3時間前に芳香の揮散性が極度に高い浴用剤を使用した入浴は、入浴後の覚醒を高め、就寝前の覚醒状態を良好にし、睡眠への準備状態を改善した可能性があると考えられます。さらに、夜間の睡眠を大きく阻害することはなく、起床時の疲労回復感は改善していました。
本調査及び研究は、浴用剤を使用した入浴と睡眠改善の実現を目指し、疲労回復機能を促進することを目的とした「快適生活リズムづくり」の提案の一環であり、ツムラ ライフサイエンス株式会社ではメリハリ浴の推奨を行っていきます。