株式会社バスクリン

株式会社バスクリン(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、株式会社エスアンドエーアソシエーツ、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所と共同で、夏季の、就床前の浴槽浴が夜間の良質な睡眠をもたらすことを実証しました。

なお、本研究内容は第6回日本感性工学会春期大会(2011年3月3日(木)、4日(金))で報告しました。

目的

当社はこれまで、これまで快適生活リズムづくりの提案の一環として、多くの人が行う習慣の一つである入浴に注目してきました。先の生理人類学会(2010年10月開催)では、入浴剤浴とシャワー浴との比較検証を行い、入浴剤浴は、シャワー浴より良い睡眠状態がえられることを実証しました。
今回、浴槽浴が夜間の睡眠に及ぼす影響を、夏になると多く利用されるシャワー浴との比較を通して、様々な側面から総合的に検討を行いました。

対象と方法

参加者健常な20歳~30歳代の女性6名(年齢32.5±5.1歳)
入浴条件B条件:浴槽浴10分
S条件:浴槽浴なしでシャワー浴1分。
測定環境室温27℃ 湿度60%~70% 照度501x以下
スケジュール3日間の生活調整の後、2日間連続で実験室にて計測実施

結果

1. 入浴後の評価

浴槽浴の方がシャワー浴より温浴効果が有意に高く、入浴後のすっきり感も高いという評価になりました。

2. 入浴後から就床までの変化

浴槽浴の方がシャワー浴より深部体温、集中力は有意に低下しました。
睡眠を導く体温の変化、気分状態は、浴槽浴の方がメリハリがある、と考えられます。

3. 夜間睡眠の評価

夜間の心拍変動は、浴槽浴の方がシャワー浴よりも心拍数が有意に低下しています。
また交感神経系活動はシャワー浴よりも低下傾向にあります。
これらの状態から、浴槽浴の方がより良い睡眠状態にあると考えられます。

4. 起床時の睡眠感

起床時の睡眠状態を評価する心理尺度であるOSA睡眠調査票を用いた調査では、浴槽浴をした方が覚醒感や睡眠維持に関してシャワー浴より良好な結果となりました。
更に起床時の気分・意欲・集中力については浴槽浴の方がシャワー浴より気分が有意に高く、意欲と集中力は高い傾向にありました。

結論

夏季の就床前の入浴方法について検討を行った結果、シャワーのみの入浴に比べて浴槽浴を行った場合には、就床時においてより休息に適した状態にあり、起床時の睡眠感と気分状態を良好にするような「質のよい睡眠」が得られることが示唆されました。
夏季においても、浴槽浴は覚醒水準と気分についてメリハリをつけ、就床に向けての準備を促す働きを持ち、その後の「良好な睡眠」の確保に有効である可能性が考えられました。