近年、1,700万人を超える人が海外旅行をし、生体時計と環境の時刻のずれから、時差ボケを発生し旅行に支障をきたしてしまいます。
株式会社バスクリン(本社:東京都港区 社長:古賀和則)は、海外旅行中の時差ボケの症状を軽減することを目的に、時差ボケ症状を把握するとともに、「旅行中の入浴方法が睡眠と時差ボケ症状に及ぼす影響」について検討しました。
この結果は2012年6月に開催された日本睡眠学会で報告しました。(※:日本政府観光局JNTO調べ)

【対象】

調査対象者海外旅行者125名(成人、添乗員が同行するツアーへの参加者)
調査時期2012年2月〜4月

【方法】

1)事前に海外旅行における入浴や入浴剤の利用を調査しました。

2) 旅行出発時に125名を対象に入浴剤提供群と入浴剤なし群とに分けアンケート調査を実施し、入浴剤提供群46名(東方群22名、西方群24名)、入浴剤なし群46名(東方群24名、西方群22名)を回収しました。 入浴剤は無機塩含有炭酸ガス系入浴剤を用いました。
対象者は、5時間以上時差のあるエリアへの旅行者で、かつ過去1ヶ月以内に5時間以上時差のあるエリアへ旅行していない人です。また、宿泊先に浴槽があり、治療中のケガや病気が無かった人としました。

3)旅行中毎日、睡眠と生活について記録していただき、旅行最終日には時差ボケ症状や運動量について調査しました。
記録項目:睡眠、食事、排便、入浴、飲酒のタイミング、入眠潜時、中途覚醒の回数と時間、睡眠の質、起床時の状態評価、入浴方法 等

◆旅行先での入浴状況

入浴状況については、ふだん浴槽浴を多くしている人の割合は60%以上でしたが、旅行中浴槽浴を多くしていたいう人の割合は15%と少なく、旅行中の入浴方法に違いが生じていることがわかりました。

図1

【旅行中の調査結果】

◆睡眠評価と時差ボケの関係と入浴剤の有無による入浴状況

睡眠状態と時差ボケ症状(日中の眠気、腰痛、肩こり、疲労感、等)には有意な相関があり、良好な睡眠がとれていない人ほど、時差ボケの症状がひどいという関係がありました。
また、入浴剤を提供した群では、提供していない群と比較し、有意に浴槽浴の頻度が多くなっていました。

図2

◆入浴剤の使用が海外旅行中に及ぼす影響

入浴剤提供群の87.5%の人が入浴剤による睡眠改善を実感し、そのうち90.5%の人が時差ボケの改善効果を実感しています。

図3 睡眠と時差ボケ症状に対する入浴剤の効果の実感(入浴剤提供群 n=46)

【結論】

旅行前に実施したアンケート調査によると、旅行先で時差ボケ対策を自発的に行っている旅行者はわずかで、今回実施した旅行中の調査でも多くの人が時差ボケの症状を訴えています。
しかし、入浴剤提供群で浴槽浴頻度が高まり、入浴剤による睡眠改善の意識が高く、時差ボケ症状の改善を実感した結果となりました。
本研究により、入浴剤が海外旅行先での浴槽浴を促すことになり、入浴剤による浴槽浴で良好な睡眠が確保でき時差ボケを軽減し、安全で充実した旅行を実現するための方策の一つとして期待できると考えられます。