株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、徳島大学医学部、徳島県鳴門病院と共同研究を行い「ヒトフォトトリコグラム試験による生薬育毛剤の評価」について日本生薬学会第61回年会で報告しました。

背景多くの人が脱毛や薄毛で悩んでいる昨今、株式会社バスクリンではより有用な育毛剤の開発を目指して研究を行っております。今回は、男性の脱毛に着目し、男性に多く見られる脱毛因子を阻害する作用を桑根皮エキスに見出しました。さらにこの桑根皮エキスを配合した生薬育毛剤の成人男性での効果について、6ヶ月のヒトフォトトリコグラム試験による客観的な評価を実施し、その結果について報告するとともに、桑根皮エキスの脱毛症を抑制する新たなメカニズムについて、知見も得られたことを日本生薬学会にて報告することで、今後の育毛剤開発の一助することとしました。
方法対象者:
薄毛が気になる男性29 名 試験開始時の平均年齢43.5歳使用育毛剤:
桑根皮エキスを配合した生薬育毛剤測定方法:
各評価日に測定部位を含む範囲の毛髪を約1cm×1cmの面積で毛刈りし、デジタルマイクロスコープを用いて、毛刈り直後の拡大画像を撮影しました。この画像より抽出した6mm × 6mm (0.36cm2)の解析領域内の全毛髪の毛直径を計測しました。測定項目:
総毛髪数、硬毛 (毛直径80mm以上)数 、非硬毛 (毛直径40mm以上80mm未満)数、軟毛 (毛直径40mm未満)数、毛直径

<桑根皮エキスのメカニズム解析>
桑根皮エキスの脱毛因子であるBDNFとその受容体との結合を阻害する作用についてELISAを応用した方法で評価しました。
※BDNF(脳由来神経栄養因子)は、毛包の退縮を起こすことが知られている。
※ELISA: 試料中に含まれる抗体あるいは抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる方法。
更に、桑根皮エキスを毛乳頭細胞の上清に加え、育毛に関わるタンパク質(DKK1)の発現をウェスタンブロット法にて解析しました。



<桑根皮エキスのメカニズム解析>
桑根皮エキスは、脱毛因子であるBDNFの受容体との結合を阻害する作用が認められました。
さらに、毛乳頭細胞において毛髪の成長期への導入を阻害する因子であるDKK1の発現を減少させることが確認されました。

結果桑根皮エキスを配合した生薬配合育毛剤は、男性を対象としたヒトフォトトリコグラム試験において、有意な改善を示しました。特に、太い毛(硬毛)を増やす作用に優れていることが示唆されました。また、同時に実施したアンケート調査では、29名中21名(72.4%)の被験者が改善を実感したと答えました。
さらに、桑根皮エキスの作用メカニズムを検討した結果、桑白皮より脱毛因子であるBDNFの作用を阻害することおよび成長期への移行を阻害するDKK1の発現を減少させる効果が新たに確認され、脱毛予防および毛髪の成長期への移行を促進する作用を持つことが示唆されました。