株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、東京都市大学人間科学部早坂信哉教授の研究グループとの共同研究で、幼児及び保護者の入浴意識と生活習慣、QOL(生活の質)との関連について検討し、2018年10月24日~26日に開催された第77回日本公衆衛生学会総会にて報告しました。
研究結果より、浴槽入浴嗜好は、生活習慣、QOL、子育て、しつけ、教育等に影響する可能性が示唆されました。

【背景と目的】
日本では、身体の清浄効果のみでなく、日常的な疲労・ストレスからの回復、及び健康のための入浴習慣が普及しています。入浴は、身体を温める、清浄にする、リラックスするなど、健康に良いと考えられますが、入浴習慣と健康に関する報告は多くなく、特に子どもに対する調査は少ないのが現状です。
2015年より、東京都市大学との共同で、入浴習慣が子どもの生活、身体活動、健康など、成長発達にどのように影響するかについて、明らかにすることを目的とし、研究調査を行ってきました。2017年までの結果、幼児の入浴嗜好が高いほど、社会性発達に好影響を及ぼし、入浴が幼児の「おもいやり」、「コミュニケーション」等の成長発達を促す可能性が示唆されました(2017年第76回日本公衆衛生学会にて報告)。
本研究は、幼児及び保護者の入浴意識と生活習慣、QOL との関連について明らかにすることを目的とし、未就学児を対象とした調査を行いました。

【方法】

調 査 期 間:2017年7月
調 査 対 象:関東地方の3か所の保育所等に通う計238名の幼児の保護者
調 査 方 法:留め置き式調査による横断研究
調 査 項 目:対象者の性、年齢、入浴習慣等基本情報の他、入浴時の意識等
回 収 状 況:調査票回収は158名(回収率66.0%) 性別は、ほぼ同数。
平 均 年 齢:4.9±1.0歳
入浴剤使用者:71名(浴槽浴対象者の46.4%)

本調査は、東京都市大学医学研究倫理委員会の承認を得ております。

【結果】
保育所等に通う幼児を対象とし、入浴習慣、入浴意識、QOL等とのそれぞれの関連について、保護者からの回答で調査を行った結果を下記に記します。

  1. 1週間あたりの浴槽入浴回数は夏5.4±2.3(平均±SD、回)、冬6.8±0.8(同)、シャワーのみの入浴回数は夏4.0±2.7(同)、冬1.4±2.6(同) でした。幼児の好きな入浴方法は、90.7% が浴槽入浴、8.7%がシャワー浴でした。家庭での入浴剤使用は45.6%で、入浴剤使用者の使用頻度は、平均で週3.6回でした。
  2. 幼児の浴槽入浴嗜好と各項目の相関解析を行った結果、浴槽入浴嗜好が高いと、約束事を守る、マナーを守る、片付けができる、入浴時の親子の会話がある、入浴時とても元気である、幼児の健康度について有意に良好である結果がみられました(表)。
  3. 親の浴槽入浴嗜好と各項目の相関解析を行った結果、浴槽入浴嗜好が高いと、親の幼少期の入浴の思い出、幼児が約束事を守る、幼児がマナーを守る、親の健康度、親の幸福感について有意に良好であるとの結果が得られました(表)。
  4. 浴槽入浴が子育て、しつけ、教育に対して有用と考えていたのは143名(90.5%)でした。しつけ、教育への有用度と各項目の相関解析を行った結果、有用度が高いと、入浴時の親子のふれあい機会に有用、親の幼少期の入浴の良き思い出について有意に良好である結果が得られました(表)。

【考察】
過去の研究結果より、幼児の入浴嗜好が高いほど、幼児の社会性発達に好影響を及ぼし、入浴が幼児の「おもいやり」、「コミュニケーション」等の成長発達を促す可能性が示唆されました(2017年第76回日本公衆衛生学会にて報告)。本研究の結果から、浴槽入浴嗜好は、約束事を守るなどの生活習慣、幼児の健康度などの QOL との関連が示唆されました。
入浴剤に関しては、その使用理由とし、「楽しく入浴する」が最も多く,浴槽入浴嗜好を高める事に影響する可能性が考えられました。

以上より、浴槽入浴嗜好は、生活習慣、QOL、子育て、しつけ、教育等に影響する可能性が示唆されました。
今後、本研究結果を踏まえ,健康感、QOLを高めるための入浴習慣を追求し、有用な情報として提案してゆきます。