株式会社バスクリン(本社:東京都千代田区 社長:古賀和則)は、お風呂の場を、家族のふれあい機会やしつけ、教育に有意義に活用してほしいとの思いから、入浴習慣と健康、QOL(生活の質)、生活習慣の関連について調査、研究を行ってきました。 東京都市大学人間科学部早坂信哉教授の研究グループとの共同研究で、幼児及び保護者の入浴意識と生活習慣、QOLとの関連について検討したところ、親の入浴嗜好は、入浴意識、幸福感、QOL、親の幼少期の思い出との関連が示唆されました。また入浴剤使用頻度とも関連がある事を確認しました。加えて、入浴剤使用者において、早寝早起きなどの生活リズムに影響するなど、QOLの向上や入浴を通したしつけ・教育(浴育)にも影響する可能性が確認されました。 本研究成果は、2019年10月24日~26日に開催された第78回日本公衆衛生学会総会報告にて発表しました。 幼児及び保護者の入浴意識と生活習慣、QOL(生活の質)は関連する。 【背景と目的】 日本では、身体の清浄効果のみでなく、日常的な疲労やストレスからの回復、及び健康のための入浴習慣が普及しています。入浴は、身体を温める、清浄にする、リラックスするなど、健康に良いと考えられますが、入浴習慣と健康に関する報告は多くなく、特に子どもに対する調査は少ないのが現状です。 株式会社バスクリンでは、2015年より東京都市大学と共同で、入浴習慣が子どもの生活や身体活動、健康など、成長発達にどのように影響するかについて、明らかにすることを目的とし、研究調査を行ってきました。その結果、幼児の入浴嗜好が高いほど、幼児の社会性発達に好影響を及ぼし、入浴が幼児の「おもいやり」、 「コミュニケーション」等の成長発達を促す可能性が示唆されました(2017年第76回日本公衆衛生学会にて報告)。 本研究では、幼児の保護者の浴槽入浴嗜好、入浴剤使用、生活習慣との関係を明らかにすることを目的とし、調査を行いました。 【方法】 調査期間:2018年11月~12月 調査対象:関東地方の5か所の保育所に通う計266名の幼児の保護者 調査方法:留め置き式調査による横断研究で実施しました。 調査項目:性、年齢、入浴習慣等基本情報、入浴時の意識等 解析方法:単純集計、相関分析をSPSS ver.25を用いて解析しました。 本調査は、東京都市大学医学研究倫理委員会の承認を得ております。 以下 入浴剤:入浴剤使用者 さら湯:入浴剤非使用者 とします。 【結果】 1.親の浴槽入浴嗜好との関連(表1) 親の浴槽入浴嗜好は、子育て、しつけ、教育に対して有用、保護者の幼少期の入浴の楽しい思い出、保護者の幸福度と相関があり、入浴剤使用者では強い関連傾向にありました。

  表1 親の入浴嗜好と入浴意識、QOL、マナーとの相関    
    スピアマン相関係数  
(有意水準)
     
    全体
N=192
入浴剤
N=104
さら湯
N=82
   
  入浴意識 等    
  子育て、しつけ、教育に有用 0.20(**) 0.27(**) 0.13(-)    
  親子のふれあい機会として有用 0.24(**) 0.22(*) 0.24(*)    
  親子の会話がある 0.15(*) 0.12(-) 0.17(-)    
             
  QOL          
  現在の幸福度(親) 0.17(*) 0.24(*) 0.11(-)    
  入浴に関する幼少期の楽しい思い出(親) 0.28(**) 0.30(**) 0.22(-)    
             
  マナー          
  行儀よく食事ができる(子) 0.04(-) 0.08(-) 0.02(-)    
  **:p<0.01 *:p<0.05 – : ns

2.入浴剤使用頻度との関連(表2) 入浴剤使用頻度と入浴意識、親のQOL、子どものマナーとの関連がみられました。

表2 入浴剤使用頻度と入浴意識、QOL、マナーとの相関
    スピアマン相関係数
(有意水準)
   
  入浴意識 等    
  子育て、しつけ、教育に有用 0.25(*)    
  親子のふれあい機会として有用 0.29(**)    
  親子の会話がある 0.21(*)    
         
  QOL      
  現在の幸福度(親) 0.23(*)    
  入浴に関する幼少期の楽しい思い出(親) 0.04(-)    
         
  マナー      
  行儀よく食事ができる(子) 0.21(*)    
  **:p<0.01 *:p<0.05 – : ns  

子育て、しつけ、教育に有用な理由:清潔等の生活習慣を教えられる、コミュニケーション・会話の機会等。 親子のふれあい機会に有用な理由:温まることでリラックスできる機会等。 3.浴槽入浴時間 入浴剤使用者で13.0±7.4分、さら湯で10.6±5.3分と、入浴剤使用者で有意(p<0.05)に長めでした。 →身体を良く温め、リラックスしながら、しつけ、親子ふれあいの機会としているものと考えられます。 4.生活習慣 生活リズムと入浴剤(図1‐図5)

入浴剤は、さら湯と比較し、就床起床、朝食夕食、入浴共に時刻が早い傾向にありました。
入浴剤は、早寝、早起き等、生活リズムに関連する可能性が示唆されました。

【考察】
幼児、及び保護者を対象に、幼児、保護者の其々の入浴嗜好と生活習慣(幼児)、入浴時の様子、QOLについて、調査、解析を行い検討しました。

  1. ①親の入浴嗜好は、入浴意識、幸福感、QOLと関連があり、親の幼少期の思い出との関連についても示唆されました。
  2. ②入浴剤使用者において、入浴剤使用頻度が高いほど親子のふれあう機会に有用であり、子育て、しつけ、教育にも有用という意識が高いという関連がありました。
  3. ③浴槽入浴で温まり、リラックスし、親子の会話等コミュニケーションを図ることが、入浴剤の使用での浴槽浴時間の延長に繋がっている可能性が考えられました。
  4. ④入浴剤使用者において、早寝早起きなどの生活リズムに影響するなど、QOLの向上や入浴を通した教育(浴育)にも影響する可能性が考えられました。

以上の結果から、浴槽入浴は、生活習慣、QOL、子育て、しつけ、教育等に影響し、入浴剤使用による浴槽浴時間の延長は、親子のコミュニケーション機会に有用である可能性が考えられました。

株式会社バスクリンは「健康は、進化する。」をスローガンに、お客様の健やかで心地よい生活の提供をめざしてまいります。