「『バスクリンの森』から作られた薪を使い、森の中でお風呂のイベントを開催したい」。そう話すのは木こりの久米 歩さん。大学進学を機に富山県から静岡県へ引っ越し、卒業後は「バスクリンの森」がある地域に移住。「自然エネルギーを考えるキコリ」として林業を営んでいます。

久米さんは移住して、どうして林業を始めることにしたのでしょう? その理由には、“暮らし”の中で育まれた、森や地域への想いが込められていました。

久米さんは大学時代、恩師が所有する山荘の管理人をしていました。それをきっかけに今住んでいる場所を知り、移住したのだそう。

久米さん:「移住すると地域住民の方がとても喜んでくれました。さらに結婚、出産と続けばもうお祭り騒ぎ。住んだだけでこんなに喜んでもらえるなんてと驚きましたが、自分の居場所が見つかったような気がして、とても心地よかったです」

山荘での生活は、薪割りをして過ごしたり、その薪を焚いてご飯を炊いたり。お風呂やストーブも薪を使っていたことで、“森がもたらすエネルギー”を強く感じた期間だったと話します。

久米さん:「今の生活に至る原体験になったと思います。この経験があるからこそ、『自然エネルギーを考えるキコリ』と名乗り始めました」

山荘での“暮らし”がきっかけで、今住んでいる土地に暮らし始めた久米さん。

久米さん:「移住当初は学習塾を開いていました。20代前半の人が珍しかったので、『うちの子どもに勉強教えて』とお願いされ、15人くらい集まったんです。一時期は地域の中学校の1割以上の生徒が来ていましたよ。

仕事もあって、生活もできる。野菜は近所の方がお裾分けしてくれるし、向かいに住む方は『ご飯炊けたよ』と時々ご馳走もしてくれるんです。住民同士の絆が強いこの地域での暮らしは、とても温かみを感じます」

久米さんは今、3人のお子さんをもつお父さん。3人目の子が生まれた頃に、「この地域で自分が出来ることは何だろう」と考えるようになったそう。それが林業での起業に至ったと言います。

久米さん:「若い人たちは働く場所の問題などで、ほかの地域に引っ越してしまう人が多いんです。さらに少子化も進む中、ここでの暮らしを続けるために自分は何ができるだろうと考え、林業に着目しました」

林業の後継者不足が騒がれる昨今、逆に久米さんは「不足しているからこそ、自分にできることが多そうだ」とも思ったと言います。起業して10年経った今では、社員も抱え、地域に根ざしながら働いています。

「バスクリンの森」は、平らな地形の場所にあります。斜面の多い日本では、とても珍しいことなのだそう。

間伐作業により日の光が森に差し込むようになれば、人と森が触れ合う絶好の場所になると、久米さんは話してくれました。

久米さん:「森が明るくなり道ができると、子どもたちの遊び場として、イベントやワークショップを開催する場として活用できます。『バスクリンの森』は、人が集まる場所にぴったりです。間伐作業で作った薪を使って、お風呂に入るイベントをしたいですね! 森の中で、森がもつエネルギーを感じてもらえればと思っています」

住んでいる地域を愛し、森がもたらすエネルギーを大切にする久米さん。「バスクリンの森」も久米さんの愛情をたっぷり受けて、明るく活気のある森へと変わっていくでしょう。

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文:もりやみほ、写真:市岡祐次郎