森の貯水機能を保ったり、生態系を守ったり、森で生きる木は豊かな自然を作るために、多くの役割を担っています。では、伐採された後はどうでしょうか。

木の用途はさまざま。家具や住宅、食器や紙にも変身します。中でも伐採後加工せずに活用できるのが、薪。キャンプの時には欠かせない、たき火やバーベキューで必須のアイテムです。

今回は「バスクリンの森」で、伐採した木で薪を作り、森とは異なる役割の木にふれてみました。

まずは、伐採した木を30センチメートルほどの長さに切り分けていきます。高くそびえ立っていた木がコンパクトな大きさの丸太に変わる様子を見ていると、木が身近な存在に感じられてきました。

森に生えている状態の木は通常50%以上の水分を含んでいますが、皮むき間伐で水分を抜いたこの木は、約20%の水分値。伐採前でも一般に販売されている薪と同程度の含水量まで減りました。軽くて持ち運びしやすく、すぐに利用できます。

広い場所へ運び、次は薪割りをしてみます。短く切られた木を別の木の台に置き斧を準備します。手に持った斧は、ずっしりと重く、うまくコントロール出来るか不安になってしまうほど。木こりの久米さんの力を借りて、一緒に割ることにしました。

斧を両手で握り、目の高さくらいまで持ち上げます。そして、久米さんから掛け声が。

「せーの!」

なんとか木に命中! 勢いよく斧を振り落とすその体験は、慣れていない私にとって度胸が試される緊張の一瞬。木は、1回ですっきりと割れることもあれば、2、3回斧を入れて割ることもありました。

斧を使う時、しっかり薪を割ろうと腕に力が入ります。けれど、斧を力いっぱい振る必要はないと久米さん。「斧は力を使わず、重さを使って木を割ります。弧は描かずに、まっすぐに勢いよく振り下ろすのがポイントです」とアドバイスをもらいました。

太い幹を3~4分割したら小さな斧に切り替え、さらに細かく割っていきます。繊維に沿って刃を入れるので、さらりと綺麗に割けてくれました。その気持ちよさに、いつの間にか無心になって割り続けてしまうほど。

薪を作ったら、いよいよたき火の準備です。火がつきやすいように木の皮や枯れた葉も集めてきて、一緒に火をつけます。

火種が徐々に大きくなり、周りの薪に炎が移ります。新しく薪をくべると、パキパキと乾いた音を立てて燃えあがり、熱気も強くなりました。最後は網を上に置いてバーベキューです。

「バスクリンの森」の取材チームで火を囲み、ソーセージやベーコンを焼いたり、焼き芋を作ったり、お湯を沸かしてお茶を飲んだり。冷たく、ひんやりとした森の空気と、火から発せられる熱のエネルギーのそばにいると、私たちは森からエネルギーをもらい、支えられながら生きていることが感じられました。

木のさまざまな役割にふれ、自然の恩恵をうけて私たちは生活していることを、教えてもらったような気がします。

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文:もりやみほ、写真:市岡祐次郎