研究領域

米ぬか由来成分を高含有するコメヌカ油リッチオリザの開発

　アトピー性皮膚炎など乾燥状態にある皮膚では、フィラグリンが減少していることが報告されています。フィラグリンは、天然保湿因子の成分である遊離アミノ酸やピロリドンカルビン酸の前駆物質として皮膚の保湿と深くかかわっていることから、フィラグリンの合成を促進して乾燥肌の本質的な改善作用を有する素材開発が望まれていました。
　私たちは、古くからスキンケアに有用であることが知られ、保湿作用を有する米ぬかの抽出オイルに着目し、米ぬか成分を可能な限り残存させた「コメヌカ油リッチオリザ」を開発し、フィラグリン産生促進作用を確認し、有用なスキンケア素材になり得ることを証明しました。

香粧品に用いられる油剤のフィラグリン遺伝子発現量の比較

　オリーブオイルやスクワラン等の保湿剤として用いられる代表的な油性原料には、フィラグリンの遺伝子発現は認められませんでしたが、コメヌカ油リッチオリザは有意な発現量の増加が認められました。

コメヌカ油リッチオリザのフィラグリンタンパク産生量

　フィラグリンタンパクは、濃度依存的に産生され、コメヌカ油リッチオリザ濃度０．００３～０．０５％において有意に増加していることが認められました。

コメヌカ油リッチオリザと一般品コメヌカ油の成分分析

　一般品コメヌカ油と比較し、保湿作用のある植物ステロール、抗酸化作用の高いビタミン、肌荒れに効果のあるγ-オリザノールが高含有していることが確認されました。米ぬか本来の有用な成分が豊富に含有しています。

まとめ

　コメヌカ油リッチオリザは、表皮細胞中の水分保持機能のあるフィラグリン産生量を有意に増加させることが、遺伝子レベルだけでなくタンパク質レベルでも確認できました。これらの事実から、米ぬか本来の有用な成分を豊富に含有する「コメヌカ油リッチオリザ」は、表皮細胞中のフィラグリン産生量を有意に増加させるヒューメクタント作用と角層表面を閉塞して水分蒸散を抑制するエモリエント作用の両方を併せ持つ、他には類のない優れた保湿剤であると言えます。皮膚の乾燥状態の改善及び予防を目指した製品開発に利用できると考えられます。

米糠由来成分を高含有するコメヌカ油にフィラグリン産生促進作用を確認：ニュースリリース2011年