温泉を利用して、心と体の健康を増進しようという考え方は古くから世界中であったものですが、ここ数年は、温泉の効果をもっと科学的に考えて、健康のために積極的に取り入れようという動きが活発になってきました。ここでは、そもそも温泉とはどうして心と体に良いのか?という素朴な疑問を解決していきましょう。

温泉が心と体に良い3つの理由

理由1 浮力・水圧・温度で心と体を解きほぐす

家庭のお風呂にも言えることですが、お湯に入ることによって「浮力」が働き、水中で感じる体重は1/9近くになります。これによりまずは全身を支えていた筋肉の緊張がほぐれます。また、「水圧」がかかることによって血行が良くなり、マッサージ効果も。さらに「温度」も重要です。ぬるめのお湯は副交感神経を優位にしてリラックスを誘い、熱めのお湯は交感神経を優位にして心と体を目覚めに導く効果があります。

理由2 温泉に含まれる成分が体に有効に働く

温泉にはその地域や源泉によって、硫黄、炭酸ガス、食塩、重曹、鉄、放射能(無害)などの様々な成分が含まれています。治療効果のある温泉水は主な成分によって10種類に分けられており、それぞれが体のいろいろな症状に効果があることが医学的にも証明されています。また、温泉によっては飲むことで効能を得られるものもあります。

理由3 転地効果によるストレスからの解放

温泉地のような普段とはまったく違った環境に身を置くことで、日常のストレスから解放されることを「転地効果」と言います。温泉に入るのはもちろんのこと、山の木々の香りや潮の香りをたっぷりと感じたり、風景を楽しんだり、美味しいお料理を食べてくつろぐことすべてが「転地効果」であり、ストレスの多い現代 社会では特にその効果に期待が高まっています。

このように温泉が心と体にもたらす効果は、科学的にも実証されているものであり、またストレスの多い 現代人にはとても嬉しい効果をもたらしてくれるものなのです。

ただし、間違った入浴法をしていては、かえって体に負担をかけてしまうことも。ここで改めて、どんな泉質の温泉にも共通する正しい入り方を覚えておきましょう。以下の5ポイントをマスターして、これからはより体にやさしく健康的な温泉療養を楽しんでみてくださいね

温泉の正しい入り方

必ずかけ湯をする

衛生上の問題だけでなく、入浴前に体をお湯の温度に慣らす準備運動のような意味でも、かけ湯は大切です。手足など体の末端から上に向かってお湯をかけていき、最後に頭からお湯をかぶりましょう。特に温度差の大きい冬や熱いお湯に入る時は、頭からお湯をかぶることが重要になります。

最初は半身浴で体を慣らす

湯ぶねにはゆっくり静かに入ります。最初はおへその少し上(みぞおち)までお湯につかる半身浴で、無理せず体を慣らしましょう。特に心臓や肺が弱っている方は必ず半身浴から始めましょう。

手足を動かして血行促進

半身浴後の全身浴では、手足をゆっくり伸ばして湯ぶねのふちを枕にする姿勢で、体を浮かせるようにして浮力を感じてみましょう。また、入浴中に手足をこまめに動かすと、筋肉のポンプ作用が働き、さらに血行が良くなります。

入浴時間や回数を守る

1回の入浴時間は額に少し汗をかく程度が適当です。また、せっかく来たからと1日に何度も入浴すると体に負担がかかります。最高でも1日に3回までにしましょう。

水分と休息をしっかりとる

温泉旅行では余裕をもったスケジュールを組み、食後すぐや飲酒後の入浴、入浴後すぐの車の運転などは避けましょう。入浴前後は休息と水分をしっかりとることを忘れずに。