温泉には、緑色や乳白色などの色のついたものと無色透明なものがあります。温泉の色はどのようにして決まるのでしょうか?ここでは、代表的な湯色とその成り立ちについて説明します。

温泉のいろいろな湯色

乳白色
中性から酸性の硫黄泉に多く見られます。温泉が地上に湧きだした際は、無色透明なものも多いのですが、地表に出て酸素に触れて酸化すると、乳白色に変化します。酸性度が高いほど、白濁が強くなります。また、火山灰や泥が含まれている場合は、乳白色や灰白色の色になります。

茶褐色・赤色
含鉄泉に多く見られます。乳白色の温泉と同様に、地上に沸き出した時は無色透明のものが多いのですが、空気に触れることで鉄分が酸化し、お湯を濁らせ、茶褐色や赤色の湯になります。

黒色
黒色のお湯は、太古の植物が積み重なった腐植質によるものといわれています。腐植質にはフミン酸やフルボ酸という物質(植物が微生物に分解された物質)が含まれており、この成分の濃度によって透明感のある茶色や黒色のお湯になります。

緑色
緑色のお湯のメカニズムはまだ詳しく解明されていませんが、硫黄泉や酸性泉であることが多いといわれています。

青色
青色のお湯のメカニズムもまだ解明されていませんが、成分中のメタ珪酸や硫黄成分が関係していると言われています。乳青色の湯は、乳白色への変化の過程で見られることもあります。

このように、温泉に含まれる成分は、湯色を決める大きな要因になりますが、もう1つ温泉の湯色に影響するのが「光(太陽光など)」です。温泉の成分の粒子に太陽光がぶつかって拡散する現象が、人間の目には「乳白色」「薄い青」などに見えるといわれています。この現象がよくわかるのが、真っ白に見える露天風呂の湯を手桶に汲んだ時です。大きな露天風呂では光の拡散が起こっているため、お湯の色は白く見えますが、手桶の中では光が拡散しないので、透明のお湯に見えます。
そのため、朝と夜、晴れの日と曇りの日、季節によって太陽光の変化とともに温泉の色も違って見えるのです。温泉の効能だけでなく、ぜひ湯色も楽しんでみてくださいね。

参考文献 阿岸祐幸:温泉の百科事典、丸善出版、2012