みなさんは、ヒートショックプロテインという言葉を聞いたことがありますか? 健康的に日々を過ごすためのとても大切な存在であるヒートショックプロテインについて、一般社団法人HSPプロジェクト研究所所長 伊藤要子先生にお話しを伺いました。

一般社団法人HSPプロジェクト研究所所長 医学博士 伊藤要子

一般社団法人HSPプロジェクト研究所所長
医学博士 伊藤要子

1)ヒートショックプロテインとは、

ヒートショックプロテイン(HSP)は、ヒトのみでなくほとんどの生き物が持っている、ストレスから身を守るためのタンパク質です。ヒトをはじめ生き物は、絶えず様々なストレスを受けます。しかし、ストレスのたびに死んでしまっては、種を存続していくことはできません。ある程度のストレスは自分で修復して生き抜いていかねばなりません(もちろん、すごいストレスが来て防ぎきれず、死滅することもあります)。ストレスによって起こる傷害を修復する、または傷害が起こらないように防いでくれるのがHSPです。個人的には、35億年前の生命誕生の最初の細胞からHSPが存在し、様々な進化を遂げても消失することなく生き物を守り、現在に至っていると思っています。よって、HSPは最も古いサバイバルプロテインと言えます。HSPには大きく、1)ストレス防御作用、2)免疫増強作用、3)抗炎症作用、4)タンパク質の介添え役・分子シャペロン作用があります。

2)HSPを増やすには

HSPを増やすために、細胞に様々なストレスを与えてHSPを測定した結果、熱ストレスが最も効率良くHSPが増加することがわかりました。また、熱を加える“加温”は、誰にでも、容易にできます(加圧トレーニング等の加圧でもHSPは増えますが、資格を持った人の指導のもとでないと危険が伴います)。そこで、温める“加温”を基本に身体にHSPを増やすマイルド加温療法を確立しました。医療機関では、加温装置を用いてHSPを高め、様々な疾患の免疫を高め、ストレスを防ぐために使用しています。家庭では、お風呂を利用した、マイルド加温療法としてHSP入浴法を確立しました。お風呂は、殆どの家庭にあり、誰でも、いつでも加温できます。お風呂の場合、40℃なら20分、41℃なら15分、42℃分10分入浴後、体を冷やさないように10~15分保温します。各自、好みの温度条件を選択できます。お風呂が苦手の人は、スポーツでもHSPが増加することを確認しています(詳しくは伊藤要子HP参照)。

3)HSPが高まると

HSPを高めておくと、ストレスが来ても、ストレスによる傷害を軽度に済ませたり、防ぐことができます。疲労の軽減、運動での筋肉痛の軽減や、紫外線ストレスによる日焼けの予防、また、酸化ストレスによる皮膚や血管の老化などにも効果的です。HSPはHSP入浴2日後にピークとなり、入浴1~3日間増加します。その後減少しますので、減少してきた入浴3,4日後に再度HSP入浴法を実施すると5~6日後に再度ピークとなり、1週間比較的HSPを高く維持できます。週2回のHSP入浴(例、土・水曜日)がお勧めです。プレゼン、試合、旅行等大切な日・勝負の日の1~2日前にHSP入浴を行うと、HSPが当日最大となりストレスや傷害・疲労が軽減します。ぜひ、試してみてください。また、HSPはウイルスなどの感染(感染もストレスです)に対し、免疫力を増強させ感染予防に働きます。ストレス防御と免疫増強は健康の2大柱です。ぜひ、週2回のHSP入浴法を生活に取り入れ、健康な生活を目指してください。

  • 入浴で増加するHSPはそんなに多くはありませんので、大きなストレスを受けた場合、防ぎきれないことがあります。そんなときは、さらにHSP入浴法を実施してください。

伊藤要子HP