
名湯案内 熊本県 黒川温泉
雄大な阿蘇のカルデラを望み、若い女性を中心に人気高まる黒川温泉
阿蘇の山深い場所にたたずむ黒川温泉。若い女性の人気が急上昇しているという評判を聞き、興味津々で訪ねてみました。なるほど温泉街を散策していると、 「廊下」といわれる小道で多くの女性観光客とすれ違います。そう、黒川温泉は道路を「廊下」、そして各宿を「お部屋」と見立て、温泉街全体を「黒川一旅 館」として謳っているのです。「黒川温泉」という共通したブランドのもとで、それぞれの宿が「お部屋」として自らの個性を出しつつ、街全体のイメージを創 りあげていることがわかります。決して派手ではありませんが、まるで「黒川温泉」というテーマパークを訪れたような非日常感を満喫できる、そんな魅力が黒 川温泉にはあります。街全体でもてなしてくれる、そんな優しさや心配りが女性の心をくすぐるのかもしれません。
そこで今回の「日本の名湯へ行こう!」は、少し趣きを変えて、そんな黒川温泉の特徴をお伝えするために「廊下」を歩きながら、温泉地の施設をご案内するイメージでお届けします。
散策が楽しめる、というのも黒川温泉の魅力。
「廊下」と呼ばれる道沿いに、シックな旅館や土産物屋が立ち並びます。
「小京都」とか「小江戸」と呼ばれる街がありますが、黒川温泉もまさにそんな雰囲気。瓦屋根や壁の色、街全体がシックに統一されているのも居心地のよさにつながっています。自然の緑と植栽のバランスも絶妙。温泉街全体で迎えられているという気分になる演出効果はさすが!
黒川温泉入り口の看板や道案内は、見てお分かりの通り、看板も統一デザイン。黒い板に白い文字が落ち着いた雰囲気です。
温泉玉子ひとつとっても情緒ある演出がうまい!(味ももちろんうまい!)
私はお風呂上がりに定番?の牛乳をいただきましたが、甘味処やバティスリーもあるので、温泉街のそぞろ歩きも楽しみです。
お宿 のし湯(ふじ屋別館)
(ナトリウム塩化物・硫酸塩泉)
▲窓の外から木漏れ日が差し込む湯船も良い気分。
▲「お宿 のし湯」のお食事処 木べえ(もくべえ)で昼食をとりました。名物の「牛すじの煮込み」は美味!
湯本荘のお風呂
(含食塩硫化水素泉)
▲田の原川(たのはらかわ)のせせらぎの音も聞こえ、緑に囲まれて風情たっぷり。
▲木の湯船もどこか懐かしい雰囲気です。
やまびこ旅館の「仙人の湯」
(ナトリウム塩化物・硫酸塩炭酸水素塩泉)
▲開放感溢れる露天風呂は、黒川温泉随一の広さ。
▲少し青みを帯びて見える湯が湯煙とともになんども現像的です。
ふもと旅館の「たち湯」と「石くり抜き風呂」
(含食硫酸化水素湯)
▲1個の石をくり抜いてつくった「石くり抜き風呂」は腰湯もできてのんびり。
▲「立ち湯」は奥が深い!つまりだんだん奥にいくほど深くなっていて、文字通り立って入ります。
▲温泉街の中心には、無料の「足湯」があります。女性同士のおしゃべりには、うってつけの場所?
▲公共浴場の「地蔵湯」。地蔵堂の前にあります。入浴料も割安なので気軽に立ち寄ることができます。
電車
●福岡方面より
(天神・福岡空港経由もあり)
博多駅→(西鉄高速バス・杖立温泉ゆき)→杖立温泉→小国ゆうステーション
博多駅→(西鉄高速バス・日田駅ゆき)→日田駅→杖立温泉→小国ゆうステーション
●熊本方面より
(交通センター・熊本空港経由)
熊本駅→(九州産交・杖立温泉ゆき)→熊本空港→小国ゆうステーション
熊本駅→(九州横断観光バス・別府ゆき)→熊本空港→黒川温泉車
●北九州から
日田IC経由で、約3時間30分
●福岡市から
日田IC経由で、約2時間30分
●久留米市から
日田IC経由で、約2時間
●熊本ICより
約1時間30分
飛行機
●福岡空港・熊本空港
到着後、バス、あるいはレンタカーをご利用ください。
お土産情報
黒川温泉の入場手形
ひとことコラム
「黒川温泉に行く」というと多くの人にうらやましがられました。阿蘇の山あいにあり、決して交通の便が良いとはいえないこの小さな温泉地が、全国区の「温泉ブランド」を獲得しています。
理由は何でしょうか?
実際訪れてみての感想ですが、
・大きな観光ホテルがない
・コンビニエンスストアやスーパーもない
・ATMさえもない(郵便局の窓口でのみ対応)
と、身近にあってあたりまえの感覚のものが、ないないづくしなのです。
3つ目に書いたATMですが、これは大変です。一番近いところで、温泉街から約10km。旅館によっては、クレジットカードが使用できないところも少なくないというから、是非宿泊前にお問い合わせください。
黒川の魅力、それは「ない」こと。「ない」からこそゆっくりくつろげるのです。
山深いところに立地しているので、なかなか日帰り入浴は難しく、ゆえに宿泊での利用になります。近くに歓楽街もないので、ゆっくり食事や入浴をして過ごす 時間が増えていく、という具合です。そして阿蘇の空気や街の風情、宿。時間がゆっくりゆっくり流れていきます。
都会の疲れた女性たちには、たまらない温泉地だと思いました。